「躯体現し」の天井体験談
2年前に私たちは購入した中古マンションをリノベーションしました。その中で、天井を「躯体現し」に変えました。これにより、カフェのような雰囲気と、広々とした空間が生まれました。
今回は、天井を躯体現しに変えることのメリットとデメリット、そして実際に躯体現しの部屋に住んでみた生活についてお話しします。
躯体現し(くたいあらわし)とは
躯体現し(くたいあらわし)とは、建築やデザインの分野で使用される用語で、その名の通り建物の構造部分である躯体を現すことです。建物の構造や骨組みを露わにして、それを美しさやデザインの一部として取り入れる手法を指します。
従従来の仕上げ材で覆われた天井や壁の代わりに、梁や柱、配管などの構造要素を見せることで、建物に独特の雰囲気を持たせることができます。
躯体現しのメリット
躯体現しにすることのメリットは以下の通りです。
1. 空間の広がり: 従来ならば仕上げ材で隠される部分がむき出しになるため、躯体現しの天井に変えることで天井が高くなり、部屋が広く感じられます。天井が高くなることで、圧迫感が減り、空間が広がった印象を受けます。
2. 個性的なデザイン: 天井が躯体現しになることで、インダストリアルな、通常の住宅にはない独特な空間を作ることができます。木製の家具と組み合わせることで、カフェのような居心地の良い雰囲気を作り出すこともできます。グレー調の部屋やインダストリアルな雰囲気が好きな方にはおすすめです。
3. 配管や設備の修理・メンテナンスが容易になる: 躯体現しにすることで配管や電気系統の設備などが露出するので、メンテナンスや修理が容易になります。
躯体現しのデメリット
躯体現しにすることのデメリットは以下の通りです。
1. 施工費用の増加: 躯体現しの天井に変えるためには、通常のリノベーションよりも高い費用がかかることがあります。天井や壁の建材が不要になるので安くなりそうな気がしますが、構造の変更や補強が必要な場合があり、それに伴う追加のコストが発生することを考慮する必要があります。
また、古い建材を解体する際、アスベストが検出される可能性があります。そうなると、廃材処理に追加の費用がかかることもあります。私たちの場合は幸いアスベストは検出されませんでしたが、調査結果が出るまではドキドキでした・・・。
2. 冷暖房の調整: 天井が高くなることで、部屋全体の温度が一様になりにくくなるかもしれません。冬は天井部分が暖まりにくく、夏は逆に冷房が上手く行きにくいといった調整の難しさが発生する可能性があります。ただ、私たちの場合はマンションの中層階だからか、冷暖房への影響はほとんど感じませんでした。
3. 天井・壁の状況が見るまで分からない: 部屋の雰囲気づくりのために躯体現しにする人にとって、これが一番大事かもしれません。そもそも現すために躯体は作られていないので、もとの壁材を壊してみると思ったより汚かった・・・ということもあります。ボロボロだったり汚れていたり、建築時の書き込みが残っていたりと、イメージと異なる可能性があり、塗装が必要になることもあります。我が家の場合は、幸い比較的綺麗な状態だったので、一部を除いて防塵のためのクリア塗装だけ行いました。
驚きの躯体状況
「比較的綺麗な状態」と前述したものの、びっくりしたこともありました。なんと・・・
コンクリートを固める際に落として沈んでいたと思われる瓶のフタが発見されました。
さらになんと、写真は載せませんが、たばこの吸い殻まで・・・。
リノベーション業者さんは「時代だなあ・・・」とつぶやいていました。瓶のフタは面白いのでそのままにしておきましたが、さすがにたばこの吸い殻部分は削ってもらいました。
本来住人に見られる部分でないので、思わぬことがあります。そこを許容できるかどうかも、躯体現しを選ぶ材料の一つになるかと思います。
実際に住んでみて
最後に、実際に2年間住んだ感想ですが、とっても快適です。リノベーション前と比べて、おそらく15cm程度は天井が高く、部屋に開放感があり、躯体に取り付けたダクトレールに好みの照明を設置して、カフェのような快適な雰囲気を楽しんでいます。
個性的なデザインであり、建物の状態によっても差があるので誰にでもおすすめできるわけではありませんが、私たちは躯体現しにして正解でした。この体験談がどなたかのお役に立てれば幸いです。